M&Aは顧問先や職員を守るための手段
会計事務所のM&Aというと、2つの事務所が法人化等によって合併するイメージを思いがちです。しかし、合併でうまくいっているケースはほとんどありません。なぜだと思いますか?
その理由は、これまで2人存在したトップが、合併によって1人になるからです。
経営が順調な時はそれほど問題になりませんが、経営状態が悪化した場合には責任の問題等で仲違いしてしまい、分裂するというケースが多々ございます。
そのため、必ずトップを決め責任を明確にすることが重要ですが、これまで一国一城の主でいたのでなかなか割り切れないことが多いのも現状です。のちにトラブルにならないためにも、諸条件を書面でしっかりと残しておくことが必要です。
以前は「譲渡」と聞くと、「お客様を売るなんてとんでもない」「お客様に後ろめたい」と言う先生が非常に多かったです。
2000年頃アメリカの会計事務所を調査したところ、当時のアメリカでは既にM&Aが活発に行われていて、CPAの業界新聞には当たり前のように事務所の「売ります」「買います」といった情報が掲載されていました。この話をすると「日本には絶対になじまない」と言われる先生が多かったと記憶しています。
しかし、現在は会計業界の状況が一変し、先生方の意識が大きく変わってきました。今まで当協会がお手伝いしてきた先生方は、M&Aの目的を、顧問先や職員を売るのではなく、顧問先や職員を守るためとお考えになっています。
ある中小企業の社長から聞いたお話です。
「8年前に顧問を依頼していた会計事務所の所長先生が亡くなりました。顧問先を100件ほど面倒を見られていたそうですが、税理士会の仲介によって、顧問先は4つの事務所へ分けられました。私もそういうことでは仕方がないと、やむなく新しい事務所に引き継ぎされました。しかし、その新しい先生が非常に横柄な対応で、なんでこんな目に合わなければいけないのかと不満に思い、以前に担当してくれていた職員さんにもう一度面倒みてほしいと依頼をしました。しかし、その職員さんは資格がなく、相談した次第です」
この話を読んでどう思われますか?
もし何の対策を取らずに、ご自身に不慮の事故が起きた場合、今まで一緒に長年頑張ってきた顧問先や職員がバラバラになってしまいます。
そうならないためにも、事前に準備をすることが重要であり、そのためにM&Aという選択肢を活用することがベストです。
M&Aを行った先生の99%が元気になっています

ここで、3年前にお手伝いした68歳のI先生の事例を紹介しましょう。
I先生は当初「55歳には引退しよう」と考えていました。しかし、結局実際に何も行動せずにずるずる来てしまいました。
70歳を前にして、このまま続けて良いのかを真剣に考えたI先生。
売上はピーク時と比べると3~4割ほど落ち込んでいました。これから立て直すすべもなく、もっと厳しくなっていくのを静観するしかない状況。
ふと事務所を見てみると、職員は今まで通りきっちり仕事をしてくれていますが、いかんせん危機感がありません。「自分が事務所を引っ張って行くんだ」という気迫も感じられず、ただひたすら定型化された仕事をこなす毎日。いわゆる「マンネリ」という言葉がしっくりくる状態でした。
「これではいずれ衰退してしまい、顧問先や職員を路頭に迷わせてしまう」と考えたI先生は、ご自身の知り合いを通じて後継者候補として紹介を受けたり、税理士会にも相談するなど、具体的な行動に移しました。しかし、結局期待通りの相手に恵まれず、当協会にご相談がありました。
I先生の、相手に対する要望は以下の3つ。
- 全国展開している大手税理士法人で今後も成長できる事務所
- 税務調査で調査官を追い返せるくらい経験が豊富で、顧問先をしっかり守ってくれる
- 新たに所長を事務所に常駐させ、職員の面倒を見てくれる
早速、当協会にて要望に沿った事務所をいくつか紹介。実際に2事務所の所長先生にお会いいただきました。
どちらもI先生の理想に見合う事務所でした。I先生は経営理念や顧問先・職員に対する考え方、今後の営業戦略等を真剣に質問し、結果としてK事務所に決めました。
K事務所も進出したい地域として考えていたようで、熱心に今後の戦略やビジョンをI先生にお話されていました。
お互いに、相性はもちろん、考え方などもマッチしたので、その後は非常にスムーズに進み、相手が決まってから約2か月で実際の引き継ぎへと進みました。
I先生には非常にご満足いただきました。引き継ぎを終えた今でも、会長職として元気に税理士業務を行っています。また、それを見た顧問先や職員も、安心して新事務所の体制づくりに協力してくれました。
これは一つの事例ですが、実際にM&Aを行った先生の99%が、今まで以上に元気になっています。ずるずる何もしないままでいても何も解決できません。顧問先や職員を守るためにも、早めに準備をしましょう。それが所長先生のためにもなります。
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- M&Aによって、どのくらいの対価を得られますか?
- 引継期間中にもしものことがあった場合には、どうなりますか?
- M&Aのことを事前に職員に話した方が良いですか?
- 職員や顧問先を引き受けてもらいたいのだけど。
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- 2022年11月30日発刊
- 著者:株式会社アックスコンサルティング 代表取締役 広瀬元義 / 西澤健太 / 前田浩輝 / 原壮宏